カレー

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カレー(英:Curry カリー)は、複数の香辛料を使って野菜などを味付けしたアジア料理のひとつ。もともとインドおよび周辺アジア諸国で作られていた料理だが、現在では国際的に人気のある料理のひとつとなっている。日本では、明治時代イギリス経由で伝わり独自の進化をとげたカレーライス国民食と呼ばれるほどの人気を獲得しており、カレーといえばカレーライスをさす場合が多い。

目次

[編集] カレー粉

カレー粉

カレー粉は、ミックススパイスの一種。インド発祥ではなく、18世紀後半のイギリスで発明され、同じころクロス・アンド・ブラックウェル(C&B)社によってはじめて商品化されたと考えられている[1]

現在は複数のメーカーから各種のカレー粉が発売されているが、基本的にはC&B社のカレー粉に倣ったもので、味はおもにクミンコリアンダー、辛味はおもに唐辛子胡椒ニンニクショウガ、色はおもにターメリックサフランパプリカ、香りはおもにクローブシナモンカルダモンナツメグオールスパイスキャラウェイフェンネルなどによるものである。これらのスパイスを混合して数週間ほど熟成すると、カレー粉独特の風味が生れる。

カレー粉の原型はインドのミックススパイス、マサラであるといわれている。しかしマサラはインドにおいて、日本の醤油味噌のようにあらゆる料理において調味料として使われるものであり、「カレー料理」のために存在する訳ではない。

現在は、インドのスーパーマーケットにも逆輸入されたカレー粉が並んでいるが、伝統的な料理において使われることはない。

[編集] 世界各地のカレー

[編集] 日本のカレー

カレーライスの他、下記のようなカレー粉、カレーソースを使った料理がある。

この他にもご当地カレーとして、函館五島軒に代表される洋食レストラン風のカレーや札幌スープカレー金沢カレー富良野市の富良野オムカレーホワイトカレーが知られる。また、単独の料理ではないがスナック菓子にはカレー味の商品が各社から発売されている。

また蕎麦屋のメニューにも、カレー粉をだし汁で溶き、長ネギを入れ、片栗粉でとろみを付けたカレーがよく見られる。

[編集] インドのカレー

イス(マサラ)を挽くインド人
カレー(手前)とナーン

インドでは香辛料(スパイス)を混合したマサラを幅広い料理に使うため、ほとんどのインド料理が「カレー」であるように思われがちである。特に日本人は、飯にかけて食べる事がある汁物についてなおさらその傾向が強い。しかし、それは誤った認識と言える。インド人は、身の回りにあるスパイスを毎日の料理に使っているに過ぎず、彼ら自身は「カレー」なるものを作っているつもりは全くない。 混ぜ合わせた香辛料を使ったインドの料理を全て「カレー」と呼ぶのは、日本料理に例えるなら、醤油味噌を使った煮物や汁物、和え物に全て同一の名前を当てはめるような乱暴な呼び方であると言える。ただし、外国人、特に旧宗主国である英国人が、彼らインド人たちの料理を「curry(カレー)」と呼んでいたことから、現在では一部の料理名の英語表記に、便宜上「curry」が使用されることもある。

インド固有の言語には「curry(カレー)」という言葉はない。「カレー」の語源としては、ソースを意味するタミル語という意味のある、「カリ」あるいはカンナダ語の「カリル」で、ポルトガル人が習得して使用したと言われてきた。しかし、実際のタミル語とカンナダ語にはソースを意味する「カリ(カリル)」はなく、両言語共通で「野菜や肉」、転じて「食事」、「おかず」を意味する「カリ」がある。一説には、ポルトガル人がインド人の食事を尋ねたところ、インド人は「カリ」と答え、ポルトガル人はスパイスで煮込まれた料理のことを「カリ」と思い込んでヨーロッパへ持ち帰った、と言われる。それが英語のcurryとなり、マサラを使った多くの料理がその名で呼ばれるようになったとされる。

インドの「カレー」は、野菜鶏肉羊肉など、様々な食材を調理するため、それに合ったスパイスが適宜使用され、そのレシピは地域によって大きく異なる。なお、牛肉豚肉を使用しないのはヒンドゥー教イスラム教によるものだが、インド南部の港町ゴアなど、植民地支配の影響で豚や牛を食べる地域もある。

また一緒に食べる主食も地域によって様々であり、小麦粉ナンチャパーティードーサなどのパンの飯などが添えられる。また、米の飯でも、地域によって品種や炊き方は様々である。

このように、一見インドの「カレー」が日本の「カレー」より多様に思えるのは、そもそも「カレー」という概念が曖昧なことに由来する。例えば日本人がイメージする「カレー」は、イギリスを経由した欧風料理のバリエーションとしてのそれであり、インド固有の料理ではない。その意味で「インドにカレーはない」という言葉は正しい。インドにとって、「カレー」という言葉は外来語にすぎない。正確な理解はインド料理の項を参照のこと。

[編集] 東南アジアのカレー

タイのシーフードカレー

インド以外に、東南アジア周辺の類似の料理も、日本では「タイカレー」、「ジャワカレー」などと「カレー」の名で呼ばれることがある。しかし香辛料の使い方などに大きな違いがあり、いわゆる一般的な「カレー粉」で作られる味とは異なっている。

たとえばタイでは唐辛子ココナッツミルクを基本としたものが主流で、具も海老鶏肉などを使い、使用するスパイス(ハーブ)・材料によってレッドカレーグリーンカレーイエローカレーに大別される。ココナッツミルクの使用でまったりとした味の物が多い。タイの伝統食文化のケーン(ゲーン)と呼ばれる様々な汁物の中で、香辛料を利かせた料理を外国人が便宜上からタイカレー(Thai curry)と呼んでいる。本来はインド周辺地域のカレー料理と直接の関連性はない。

逆にタイにおいて「カレー」と呼ばれているのは、日本でおなじみの食材による「カレーライス」の事である。日本から入ってきた食品であり、既に現地では一般的な食べ物になっている。

また、カレーと呼ばれていなくても日本人が食べればカレーだと思う料理もある。例えばマカオの「葡國鶏」(広東語 ポウコクカイ、ポルトガルチキン)は、クリーム味が加わり、オーブンで表面を焼いたチキンカレーとも言え、しかも米飯またはパンと共に出される。

[編集] イギリスのカレー

インドのカレーは英国でも好評だったが、インド人ほど香辛料に慣れていないイギリス人には、香辛料の調合ができなかった。そこでC&B社は、予め調合した香辛料を「C&Bカレーパウダー」として売り出した。これにより英国では着実に家庭料理として定着していき、1810年にはオックスフォード大辞典に「カレーパウダー」の語が登場する。

インドのカレーが様々な食材を用いるのに対して、イギリスのカレーはほとんど肉を使ったものである。これはイギリス人が休日には牛肉を屠ってローストビーフを食べる習慣があったためである。その時の残りの牛肉を使って平日に食べる料理のバリエーションのひとつとしてカレーが存在した。ただし、カレーを食べるためには、イギリス人にとってあまりなじみの無い米飯をわざわざ炊かなければならず、非常に手間がかかる。そのため、休日にローストビーフを食べる習慣が無くなった現在は、カレーも家庭料理としてはほぼ廃れており、たまに食堂の日替わりのメニューとして供される程度になっている。

ただしイギリスには、植民地時代からの伝統的なインド料理の店はたくさんあり、そこでは本場のインド料理としてのカレーが供されている。逆にこうした状況が、家庭料理としてのカレーが廃れた原因のひとつにもなっている。

[編集] その他の地域

ヨーロッパ北米中南米アフリカオセアニアなど、あらゆる地域でカレー文化が根付いていることが確認されている。それらは主に各地域の伝統的な料理に香辛料やエスニック要素を加えることでカレーらしくなったものだが、多くのレストランや料理人らが伝播と啓蒙につとめた功績も皆無とはいえない。また、各国の料理をカレー風にアレンジするレシピもインターネット上に多く見られるようになった。

コートジボワールのソース・アラシッド
東アジア地方
韓国のカレーライス
ヨーロッパ地方
イタリア風カレーカレー・ヴルスト(ドイツ)
中東地方
イラン風カレーサウジアラビア風カレー
アフリカ地方
ワット(エチオピア)、ソース・アラシッド(コートジボワール)
オセアニア地方
ニューカレドニア風カレー

[編集] 脚注

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  1. ^ 森枝卓士『カレーライスと日本人』(講談社新書) 講談社、1989年7月 ISBN 4061489372
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